旧暦の七夕まで残り1週間ほど。かの松尾芭蕉が「荒海や 佐渡によこたふ 天の河」と奥の細道で句を詠んだのも、旧暦のこの時期でした。夜空を見上げると天の河が一番美しく見えるのでしょうね。

というように、古来より多くの人々のロマンを掻き立ててきた天の河ですが、何と日本人の7割はそれを見ることが出来ないとのこと。「えっ!?」と思わず言葉が出てしまいますね。

理由は単純で夜間照明の光が強いため。人工の光によって、天の河だけでなく多くの星たちが、その鑑賞の機会を奪われているのです。

夜間照明の利便性はいうまでもなく、多くの恩恵を被っている以上、贅沢は言えません。夜でも安心して一人歩きできるのは照明あってこそでしょう。

しかし何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。「公害」ならぬ「光害」の影響は人間の生活だけにとどまりません。

例えば野生動物の生態系を考えてみましょう。動物の繁殖期は日の長さによって変わるそうです。日が長くなることで活動が盛んになるもの、逆に日が短くなることで活動が盛んになるものがあり、前者はウマ、後者はヒツジがその代表です。

人工の光による不夜城状態が、こうした動物の特性に影響を与えないわけがありません。また光に群がる昆虫、そしてそれを捕食する生き物、これも当然影響があります。餌の集まるところに野生の生き物は集まるものですから。

光あるところに影はつきもの。溢れる光の眩しさに目を奪われて、その影の存在を軽視すると大きなしっぺ返しがありそうですね。ちなみに世界には天の河の光で影が出来る場所があるそうです。